2009年10月18日日曜日

ZABBIX 1.6の新機能

ZABBIX-JPでも1.6リリース時にリリースノートを翻訳しましたが、リリースノートだけでは分かりにくので、改めて1.6の主な新機能をご紹介しておきます。

IPv6対応

ZABBIXの設定や監視対象の設定にIPv6を利用することができます。ZABBIXの全モジュールでIPv6に対応しました...とリリースノートには書いてあるのですが、次の1.8のリリースノートにSNMPのIPv6対応と書かれているので、まだ一部対応していないところがあると見て良さそうです。本格的な利用の再には要検証ですね。

IPMI対応

IPMIはサーバのハードウェア管理をするための規格やプロトコルのことです。最近であればサーバ用のハードウェアにはだいたいIPMI専用のポートがついてます。HPを例にあげると、サーバの裏側についているiLOポートのことです。

IPMIを使うと、CPU/マザーボードの温度やファンの回転数、電源モジュールの状態などのハードウェア情報が監視できたり、IPMIコマンドを実行することでリモートからOSを介さずに電源のON/OFFやリブートを行うことができます。ZABBIXがネイティブにIPMIによる監視とコマンド実行に対応したことで、ハードウェアの監視やハードウェアレベルでの再起動なども容易に行うことができます。

データベース監視機能の追加

リリースノートには書かれていないんですが、けっこう目玉だと思う機能です。ZABBIXサーバからODBCを介してデータベースにSQLクエリを発行し、結果を監視することができます。ODBCを使うので、MySQLやPostgreSQL、SQL Serverなどデータベースの種類を問わず監視することができます。

エスカレーションと繰り返し通知機能の追加

Webインターフェースの設定からみると大きく2つの機能追加になります。
1つはトリガー設定画面で障害発生中は継続してアクションを送信するオプションを選択できるようになったこと。これを有効にしておくことで、アイテム取得のタイミングで障害であればイベントを発生させることができます。

もうひとつはアクションの設定画面でエスカレーションの機能を利用できるようになったこと。エスカレーションを有効にすると、1〜6回目までの通知はAさんに、以降はBさんにメール通知、とか、1〜3回目まではメール通知、以降はサービスを自動で再起動する、など、アクションの実行回数に応じて実行するオペレーションを変化させることができます。

Webインターフェースからコマンドを実行

Webインターフェースからコマンドを実行させることができるスクリプト機能が追加されています。デフォルトではPingやTracerouteコマンドが設定されていますが、IPMIコマンドを登録したり、zabbix_getを使えばZABBIXエージェントにコマンドを実行させることも可能です。

コマンドの実行は下記のようにマップ上やトリガー画面から行うことができます。



パフォーマンスの改善

zabbix_server.confでStartDBSyncerを有効にすることで、ZABBIXサーバがデータベースへ書き込みを行う際のバッファを有効にすることができます(デフォルトで有効)。

ZABBIXエージェントもZABBIXサーバにデータ送付時にバッファを使うようになっているので、全体的にパフォーマンスと信頼性が向上しています。

また、1.6からはZABBIXサーバとZABBIXエージェント間の通信がXMLベースからJSONベースに変わっています。そのため1監視単位のデータ通信量が削減されています。

ZABBIXプロキシ

分散監視を行うためのZABBIXプロキシが追加されました。ZABBIXプロキシはZABBIXサーバに変わって監視を行うためのサービスで、Webサーバのリバースプロキシをイメージすると分かりやすいと思います。

分散監視の機能としては1.4でもノード機能がありましたが、ノードは監視設定も互いに同期するので、同期処理が収束するまでの間に設定を行うと監視設定が意図したものとは違うものになったり、ZABBIXサーバの負荷が高くなったりと運用しづらいものでしたが、ZABBIXプロキシはZABBIXサーバで設定と監視データを一元管理、監視はプロキシから、という構成になっているのでノードと比較してシンプルで軽量です。ただし、ZABBIXプロキシはWebインターフェースを利用することができません。

単純に負荷を分散させたい、異なる拠点やネットワークを監視したい、という場合はプロキシの利用をお勧めします。

ダッシュボード機能

Webインターフェースにダッシュボード画面が追加されました。トリガーの状態のサマリや最新のイベント情報、ZABBIXサーバの状態などが表示されます。また、ユーザごとにグラフ、マップ、スクリーンのお気に入りを登録しておき、ショートカットを作成することができます。



ダイナミックスクリーン

同じテンプレートを利用しているホストごとに、1つのスクリーン設定を横展開することができます。たとえばホストごとにCPU、メモリ、ディスク、ネットワークといったリソースのグラフを作成したい場合、1.4ではホストごとに作成をする必要があったものが、ダイナミックスクリーンを利用することが1つの設定で済むようになります。

グラフをドラッグアンドドロップで拡大

グラフ上をマウスでドラッグアンドドロップすることで、指定した範囲を拡大することができます。ドリルダウンで分析する際にとても便利です。



円グラフ

下記のような円グラフを作成することができます。



SNMPの動的インデックスに対応

SNMPでプロセスの状態を監視するような場合、プロセスとOIDが一意に決まらないことがあります。そのようなSNMP監視でも対応することができるようになりました。

Webインターフェースの改善

Webインターフェース自体の速度が改善されているほか、メニューの構成や操作など、細かいところで色々と修正が入っています。機能自体はそれほど変わっていませんが、1.4より操作し易くなっていると思います。


その他、細かいところではいろいろ修正が入ってます。詳細はZABBIX-JPサイトの1.6のリリースノート翻訳も参考にしてください。また、1.6の新機能の詳細を紹介するセミナーを10/30 11:15〜12:00にOSC Tokyo/Fallで行います。ぜひご参加ください。

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